七色騒乱について

 

魔物と人間の間にあった壁が取り払われ、いまや魔物も人間も同じ国の中で平等に生活するようになってから幾百年。世界がようやっと平和になったのも束の間、まるで争っていないと生きていけないかのように新たな争いが始まった。

七つの国の名に冠される虹の一色一色。その中でどれが一番美しいか……。

最初こそ祭りのようであった。色が舞い踊り、歌い、弾けるその光景に、どの色が一番美しいかなど優劣をつけることもくだらなかった。

しかし平和を享受しそれに陶酔した民衆の狂った感覚が、それで飽き足るはずもなかったのだ。

以来この限りなく不毛で終わりなき、果てしなくくだらない戦いは続いている。

彼らは気がつかない。

自分がその色を一番だと思い続ける限り、騒乱は終わらないのだ。

▽世界観

ちょっぴり近未来。魔物と人間がともに暮らすファンタジックな大陸。

魔物と人はそこで互いを尊重しあって生きている。そも、昔のように殺しあったのは彼らから見て数百年も昔のことであるため、今生きている者は魔物と人間が共存していることが当たり前の世の中。

▽七つの国

 ●赤の国

 赤の女王が治める国。燃えるような紅葉を一年中見ることが出来る。

 その紅葉の美しさから、赤の国の者は皆赤こそ至高の色だと考えている。

 人間の体内に流れる血も赤いし、というのが赤の国の者の意見。

 そのため、赤い血が流れていないことが多い魔物に対して七つの国の中では最も

 あたりの強い国。血気盛んな若者が多く、逆に学者等は少ない。

 戦は数で押して押して押しまくる感じで、戦術など知ったことではない。

 赤の女王が着物を着ているため、赤の国の者は和服が多め。

 でも洋服もいるし別に気にすることはない。緑の国ぶっつぶしたい。

 

 ●橙の国

 夕日の王が治める国。あまり大きな国ではなく、戦力も乏しい。

 日没がとても美しいことで知られ、観光客の足は耐えない。

 その効果か食文化の発展も目覚しく、国のいたるところにある市場では大陸の

 どんな食材でも買える。露店で売られているものもみなみな絶品であり、

 年中戦の大陸事情など知ったことではない、と言った風な平和な風が吹いている。

 しかし隣国の赤と黄の国に攻め入られ、国力が疲弊しているのも事実である。

 他国に攻め落とされるあるいは併合、なんてことになったら今の平和な暮らしが

 終わってしまうということに民衆は不安を覚えている。

(でもその割りに何の行動も起こしていない。)

 とりあえずすこぶる平和な国。

 

 ●黄の国

 われわれは太陽の国の民!太陽を守護に持つ我らこそ最も美しい色の民!!

 というのが国歌になっているほど太陽を愛している国。太陽王が治める。

 「日没は太陽の光が死ぬ瞬間であり、それを崇めるなんてばかげている」

 と、隣の橙の国を見下しており、早く併合しようと軍を送り込んでいる。

 ……というのは頭のお堅い政治家達の考えだと若い衆は思っており、

 別に夕日綺麗やんええやん。という感じ。お偉い方が自分達の考えで

 突っ走ってしまっているため、若い衆に教育が行き届かず荒れ三昧。

 治安が悪い国No.1である。

 学生が学ランでバットとか持って呪文ぶっ放して街を荒らしてる、そんな国。

 

 ●緑の国

 人間よりも魔物のほうが多い珍しい国。名前の通り自然がいっぱいの国である。

 国土の大半が森であり、その森の複雑な地形で敵を混乱させ、陥落を防いでいる。

 特に頭脳戦が苦手な赤の国は攻め行く度返り討ちにあうばかりか隊の半分を毎回失

 うため、赤の国からめちゃくちゃ恨まれてるけど本人は何処吹く風である。

 3000年生きるエルフの女王が治めているが、そもそもこの争いの発端が先代の女王

 が殺されたことにも起因しているため緑の国はなんとしても仇を討ちたい。

 だから平和そうに見えてあんまり穏やかじゃない国。

 兵士が少ない分学者が多く、少数精鋭である。その分強い。

 

 ●青の国

 「海と空がつながる場所」という観光名所がある。空の青、海の青、天と地二つを

 つかさどる青こそ一番美しいと考えている。青の王子が治めている。

 学問の街として知られ、住んでいる者はほぼ学者や魔法使いである。

 戦士も少なからずいるが、ほぼ役に立っておらず学者や魔法使いが発明した

 空爆機などで遠距離攻撃ばっかりしている。なんだかんだえぐい。

 でもどっかの赤とか黄色の国とかと違って、こちらに敵意のある国しか攻撃しない

 ため橙の国は攻撃してない。緑の国は状況によって。

 学者等頭の固い人間しか居ないため、若い魔法使い達によるゲリラ運動が

 盛んである。といっても新しい魔法とか生み出してドヤ顔しているだけなので、

 黄色の国と違ってそこまで実害はない。

 

 ●藍の国

  鉱石や水晶、宝石がよく採れる国。そのため街は装飾品で飾られ、

 とてもきらびやかな国。加えて、染物、工芸等、手工芸が盛んな国。

 反面、盗賊等も多い。

 宝石魔術を専門とする魔法使いが多く、同じ魔法使いの国である青の国と同盟を結

 んでいる。魔法使いの技量としてはこの国が最も優秀である。

 しかし青の国の下位互換的な立場に甘んじている。戦争を嫌っている者が多い。

 戦争が云々よりも、自分の作品を作り続けたいと願う人が多い。

 

 ●紫の国

 常に霧か煙かわからないスモッグがたちこめている工業の国。

 銃火機器や、飛行機車自動車などは全てここで作られている。

 ほぼ全ての国に武器を輸出しているため、実質中立状態である。

 国の者は全員ガスマスクを装着しており、最近ガスマスクの特徴で個人を見分けて

 いるらしい。

 どの色が美しいとかは実質どうでもいいって思っている人が一番多い国。

 でも騒乱が続けば儲かるし別に平和にならなくてもいいやって思っている。

 王の正体が不明で、そのほかにもいろいろ謎が多い国である。

 

 ●煉黒島

 罪を犯したものが流刑となる島。国を問わず七つの国で罪を犯したものは皆ここに

 流され、帰ってきたものは一人も居ない。

 最近クーデターが起こると噂されているらしいが、真相は不明である。

 

▽魔物について

 大体一人につき一匹の魔物と共に暮らしている。

 「飼っている」という状況の者もいるが、大半は共存生活である。

 

 

その他質問等あれば @i_nicca_i まで。